Coach’s Voice lesson2 「“プロに上げるために個の成長を大切にする。”」FC琉球アカデミーダイレクター 屋宮大地さん

Coach’s Voice Lesson2はFC琉球アカデミーダイレクター屋宮大地さんに話を聞きました。
屋宮さんはサブダイレクターを経て現職のアカデミーダイレクターに就任。

自身の現役時代の経験を活かし、技術・フィジカル・メンタルのバランスを重視した育成を実践中。プロの育成集団として個人のスキルアップを大切にした育成を進めている。

 

屋宮さんはアカデミーダイレクターになって何年になりますか?

ダイレクター自体は四年目です。その前にサブダイレクターって形で二年やらせてもらったんで、6年間ですかね。

アカデミー評価制度であるJAQSというものがあります。

Jリーグの中で決められた基準があって。それをこうクリアしていかないといけないっていうの。があったんですよ。ダイレクター一人ではなく私がそのサブダイレクターっていう立場になりまして、一年間カテゴリーをほぼ持たず資料作りとかちょっとさせてもらっていました。

 

FC琉球アカデミーのビジョン・育成方針

アカデミーの今の活動人数としてはアカデミー自体は200名ぐらいの選手を抱えています。

スクールが今360人ほどいます。

ですので全体で言うと500人ほど。現在は沖縄の中では最大級のチームになるのかなっていうふうに思っています。

スクール事業は北から南まで全域で開催しています。

最近だと宮古島にも作ってます。

アカデミーはジュニアが一拠点、ジュニアユースU15が二拠点、U18が一拠点あるっていう形です。

アカデミーの目的はトップチームに上がる選手を育て上げていくっていうことです。

プロに上げていくために個を伸ばすことを大切にしています。より個々の成長を大事にして、選手個人を母体にした集合体みたいなイメージで育成をしています。

それぞれが特徴を出し、その能力が集まると大きな力になるので。

Q、トップチームとの、連携はありますか?

昨年は育成方針を同じにするという取り組みで、技術委員会を行ってトップチームとの連携を計りました。

当時の監督と、ヘッドコーチ、経営陣の部長、アカデミーダイレクターである私、ヘッドオブコーチが参加して、全体プレーモデルを作っていきました。

また、アカデミーの選手がトップチームの練習に参加する回数も多く、アピールするチャンスもあります。

去年と一昨年はトップチームに昇格した選手が生まれました。

沖縄の選手たちの特徴

温厚な性格の人が多いというイメージがあります。

最初は人見知りもしますし人との距離が少し遠く感じますが、仲良くなると身内のように距離感が縮まります。

サッカーでは頑張って守るよりも、攻撃的でどんどん攻めていこうというマインドがあります。

私たちのアカデミーもプレーモデルに沿って、より攻撃的なチームを作っていこうとチームビルディングしています。

アカデミーの状況としては、昨年はジュニア、ジュニアユース、ユースの全てのカテゴリーが沖縄県で優勝しました。おそらく去年(2024年度)が初めてだと思います。

ユースはもちろんですが、ジュニアもジュニアユースも全国大会に出場することができました。

結果は出てきています。

メンタルスキルトレーニング導入のきっかけ

沖縄県のチームは県外に出て試合をする機会が少ないのが現状です。

九州大会に行き、初めての場所に動揺したり緊張するケースがあり、実力を持っているのに発揮しきれず1回戦、2回戦敗退してしまうということが多い状況でした。

ちょうどその時、JリーグのJAQSという評価制度の中でテクニックとフィジカルだけじゃなく、メンタル面も結果に影響しているという講義を受けました。

僕もそれは薄々感じてたんですが、その感覚を押してもらえるようなこの材料がなかったんです。その講義を受けたことで納得感があり、探し始めた時に43Labさんのパンケーキプロジェクト(ジュニア育成メンタルスキル)に出会いました。

それともう一つ自分自身がその選手やってた時の経験も導入の後押しになりました。

私が現役時代はメンタルが弱かったなと思います。

試合の時は緊張することが多かったので、緊張しないようにどうしようかなと考えていました。いろいろやってみたんですが結果的に逆に体が重かったなっていう経験がありました。

これはどうしたらうまくできるのかというふうに思っていましたね。

僕が引退した年はFC琉球がJ3で優勝した時だったのですが、その時に一緒にプレーしてた選手が今も何人かJ1で活躍しています。

その選手のことを振り返ってみると、パンケーキプロジェクトの講義でよくやっているスモールステップの考え方を明確に持っている選手だったということを感じました。こういう選手が伸びるんだなと感じました。

客観的なデータでみても、個人の経験から考えても、メンタルスキルは成長には必要なことだと思い継続して導入しています。

実際に導入して感じた変化

まず率直に思うのは、選手を育成する中で、指導者っていう立ち位置すごい大事だなと思っています。

その指導者が、メンタル面の重要性をしっかり理解してなかったり、軽視していた部分がありました。

この講義を受けることで考え方がしっかり整理され始めて、コーチの質が上がったと思います。その結果、日頃の練習での携わり方が変わり選手へも還元でき結果に繋がったと感じています。

メンタル面はざっくりしたイメージしかなかったのが、明確に理論を理解することができました。よく講義で話してくれますが、傷に絆創膏を貼ることが目的ではなく、転ばない方法を考えるという本質的な考え方をもとに講座が進んでいくので、考え方を転換しやすかったです。

これを数値化しろって言ったらできないと思うんですけど結果で出てるとか、成果で出てるっていうのはすごく嬉しいですね。

ここからはアカデミーの石川翔一コーチにも話を伺いました。

僕去年と今年、チームを受け持ち全国大会にも行かせてもらいました。

その時にミスが起きた時やうまくいっていない時に、試合中いろいろ考えてパニックになりかける時あるんです。その時に講義で学んだことを活かしていました。

プレッシャーが大きくなった時に平常心保つために、視野を一度変えるというスキルがありましたがそれがうまく使えていました。

自分が平常心戻って試合にまた戻れて試合の指示に活かすことができ冷静に選手を見ることができました。

この潜在意識の話もよく出てきますよね。僕そういう知識を得るのが好きで、いつもすごく楽しく聞いています。

僕自身が実践して行く中でいいなって思ったものを、選手に伝えていきたいなと思っています。

それともう一つメリットがあったのは、オンライン受講させてもらい、選手の保護者にも聞いてもらえるようにできたことです。

子供にアプローチするのって、指導者だけではなく保護者の声かけも関わってくるって思っていましたので意図的に保護者にも聞こえる場所にいてくださいねと声掛けさせてもらいました。

ただ課題も感じています。

小学生、中学生、高校生で導入したのですが、各カテゴリーの講座の回数を少なくしたので、選手たちが試合や練習の中で主体的にメンタルスキルを使うところまでは落とし込めませんでした。

受ける回数を増やし継続したサポートが必要だと感じています。

その時に選手がどうなっていくかなっていうのがすごい楽しみです。

心技体ってよく言いますけど、絶対この三つが重要だと思います。

ミスへの恐れやチャレンジできない選手もいると思うんですけどそれを克服したら、絶対にもっと成長すると思います。

メンタルを鍛えたり保てるようになることで自分のプレーに集中できる選手が増えると良いですね。

 

Q  アカデミーの選手たちに期待すること、育成の願いはありますか?

なんか自分自身もそのメンタルの重要性っていうのを、まずそこまでこう軽視とかあんまり重要視してなかったのですが若い時からメンタルスキルがテクニックだよという考えを持ってもらいたいなと思っています。

選手が活躍するための一つの項目としてしっかり存在しているよっていうところを認識してもらいたいです。

トップで活躍する選手はそこが重要視されているよというところは理解してもらいたいなと思いますね。

 

Q 今後にアカデミーの展望を聞かせてもらえればと思います。

トップチームで活躍するために、メンタリティーの成長は必要だと考えています。

アカデミーとしては、このメンタルのこの話を聞くっていう機会をどんどん増やして行きたいと思っていて、継続的にインプットすることで、知識が溜まっていくことが重要だと思っています。そしてそれをアウトプットするための仕組みを、その私たち含め指導者がオーガナイズしていくのかを、今後確立していきたいと思います。

石川さん

メンタリティのところってあんまりこう取り組んでなかったりとか、わかんないものにされてた部分は僕はあると思ってて。その専門家じゃないので、やっぱ専門的にやってもらえるのが一番です。

サッカーっていう世界が、まあ競争のやっぱ中であると思うんで。やっぱそこまあ勝ち続けるというか、トップを走り続ける、やっぱ意思を持った選手とか。うん。そこなんだろう。やっぱ最後まで自分の力信じてやりきれる子っていうのが生き残っていくのかなと思います。

最終的には選手が自立して自分たちでコントロールできる姿が理想です。

最大の目標になるんですけど選手が自分で状況を理解してプレーを選択できるようになっていってもらえたらなと思います。

石川さん

サッカーを楽しむ心と、自分を信じて上に登って突き詰めていきたいっていう向上心。両方持ってる子が育っていってくれたらいいなあとおもっています。

プロになれなくてもサッカーを通じてこう楽しんだりとか、おじさんになってもサッカーしていってくれるような、生涯スポーツとしてもやってくれる選手もどんどん増えていってくれたらいいなっていうのは思ってます。

 

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