東京都江戸川区を拠点に、ジュニアからジュニアユース、さらにはチアリーディングや体操まで、総合型スポーツクラブとして多様な子どもたちの育成を支える「FRENDRY CLUB」。その中心で、ジュニアユース世代の指導に長年携わってきた田中監督に、クラブの理念や指導への想い、そしてメンタルトレーニング導入の背景についてじっくりとお話を伺いました。
指導者への道:「人に伝えることの面白さ」から始まった
小学生時代からサッカーに打ち込み、大学卒業後は一度は企業就職を考えたという田中さん。しかし、学生時代に母校で指導の手伝いを経験したことで、「何かを伝えることの面白さ」に目覚め、指導者の道を選びました。
「自分の言葉やアドバイスで、後輩のプレーが変わっていくことに感動したんです。褒められることも嬉しかったし、伝えることの価値を感じました」
現在は12年目となり、かつての教え子がスタッフとして戻ってくることもあるという田中さん。長く地域に根差して活動するクラブならではの絆がそこにあります。
約1,000人が所属する総合型クラブの全貌
FRENDRY Jrユースは、江戸川区を中心に、葛飾区・江東区・中央区などからも多くの選手が通っています。特に特徴的なのは、送迎バスを活用した広域対応。練習場は江戸川区の端に位置しており、公共交通では通いにくい場所でもバスによってアクセスを確保しています。
ジュニアユースは3学年で約100名。ジュニアカテゴリー(小学生)には4チームがあり、各チーム約80~100名在籍しています。さらに幼児クラスや、チアダンス・新体操・その他のスポーツクラブを含めると、クラブ全体での所属人数は1,000人を超える規模となっています。
また、幼稚園への体育指導や派遣事業も行っており、午前は園児への運動指導、午後はクラブ活動という形で、子どもたちの日常に深く関わるスタイルが確立されています。
サッカーの前に“人として”の土台づくり
田中監督が育成で最も大切にしているのは、「人間性を磨くこと」。
「サッカー選手である前に、まず“いい人間”であること。それが結果として、ピッチ上でのプレーにもつながると信じています」
具体的には、以下の3つの力を選手に強く求めています。 – 人の話を聞く姿勢 – 元気な挨拶 – ピッチ内外での行動スピード
一見シンプルですが、この3つが自然とできるようになることで、周囲の印象や信頼は大きく変わります。そしてそれが、自信にもつながっていくのです。
チームの特徴:仲間との強い絆と、徹底した技術追求
選手たちはとても真面目で、指導への吸収力が高いのが特徴です。また、学年ごとの活動が中心であることから、学年間の仲も良く、練習のない日でも一緒に遊ぶほどの絆があります。
「最近の選手たちは、学校の友だち以上に“フレンドリーの仲間”といる時間を大切にしている子も多いです」
技術面でも「普通のプレーでは足りない」「もっと個性を出してほしい」といった高い要求を常に投げかけており、リーグカテゴリーは三部ながらも、上位校からの注目や評価を得る選手が多いのも特筆すべき点です。
メンタルトレーニング導入の背景:「本番に強い選手」を育てたい
メンタルトレーニングを導入するきっかけは、「試合中にメンタルが崩れてしまう選手が多い」という課題感でした。
「先制されたら崩れる。点を取ったら浮かれる。そんな波にのまれやすい選手たちに、“強い気持ち”を持たせてあげたいと思っていました」
専門家との連携により、選手たちが“自分自身で気持ちを整える力”を少しずつ身につけていきました。特に印象的だったのは、メンタルトレーニング後の選手たちが、自分でノートに内容を整理し、練習や試合中にその学びを活かしていたこと。
「グラウンドで“あの時こう言われたな”と自分で思い出して、行動に移せるようになってきています」
今後の展望:「プロの道」も「人として評価される選手」も目指して
田中監督は、選手たちにまずはサッカーでの活躍を期待しています。
「一人でも多く、高校サッカー選手権や、その先のプロへ進んでいってほしい。それと同時に、人として信頼される存在であってほしいんです」
“高校進学後も、自分の力で努力し続けられる選手”。それが田中さんが目指す育成像です。