「サッカーを通じて、人生を豊かにする」 ヴェルメリオ代表・内野氏インタビュー

 

サッカーの育成現場では、勝利や技術向上が注目されることが少なくありません。しかし、ヴェルメリオが大切にしているのは、その先にある「人としての成長」です。

今回は、クラブ代表の内野氏に、クラブ設立への想い、育成方針、選手たちとの向き合い方、そしてメンタルトレーニング導入の背景についてお話を伺いました。

指導者としての原点

内野代表は、選手として海外でもプレー経験を積み、セルビアでの生活やサッカー文化にも触れてきました。

セルビアでは、子どもたちが日常的にボールを蹴り、コーチと選手の距離も非常に近かったと言います。

「みんな本当にサッカーを楽しんでいました。空き地があればサッカーをしているような環境で、コーチともすごくフレンドリーな関係でしたね。」

そんな経験を持つ内野代表ですが、現役時代から指導者を目指していたわけではありません。

「正直、現役を終えたらサッカーから離れようと思っていました。」

しかし、競技人生を振り返った時に、自分自身がサッカーから受け取ったものの大きさに改めて気づいたと言います。

「サッカーを通じて出会った人、経験したこと、学んだこと。本当にたくさんの財産をもらいました。その恩返しではないですが、今度は自分がサッカーを通して子どもたちの成長に関われたらと思ったんです。」

その想いが指導者としての第一歩となり、現在では15年以上にわたり育成の現場に立ち続けています。

 

ヴェルメリオが目指す育成とは

現在、ヴェルメリオではジュニアからジュニアユースまで約130名の選手が活動しています。

活動エリアは足立区を中心とし、小学校や中学校のグラウンドを利用しながら日々トレーニングを行っています。

クラブが育成において最も大切にしていることは、「高校年代以降でも活躍できる選手を育てること」です。

3年間だけ結果を出すクラブではなく、高校へ進学した時に『ヴェルメリオ出身の選手はこういう力があるよね』と言われるような育成をしたいと思っています。」

その中でも特に重視しているのが状況判断能力です。

サッカーは常に状況が変化するスポーツです。

どこにスペースがあるのか。
今は攻めるべきなのか。
守るべきなのか。

そうした判断を自ら考え、実行できる選手を育てることを目指しています。

「スタッフとも常に話しているのは、ヴェルメリオらしさを作ろうということです。『ヴェルメリオならこういう選手が育つ』というイメージを持ってもらえるクラブにしたいんです。」

 

 

技術だけではなく、人として成長すること

ヴェルメリオではサッカーの技術向上だけでなく、人間的な成長も非常に重要なテーマとして捉えています。

内野代表が育てたいと考えているのは、自ら考え、行動できる選手です。

「自分でスイッチを入れられる選手になってほしいんです。」

言われたことをやるだけではなく、

・チームのために何が必要かを考える
・仲間に声を掛ける
・苦しい時に前向きな行動を起こす

そんな主体性を持った人間に育ってほしいと考えています。

「勝つために何をするべきなのかを自分で考えられること。そういう力はサッカーだけでなく、将来どんな道に進んでも必要になりますから。」

練習前に必ず確認すること

内野代表が指導で大切にしていることの一つが、「目的意識を持つこと」です。

練習前には必ず選手たちと目線を合わせます。

今日は何を成長させるのか。
何を意識して取り組むのか。

そうした確認をした上でトレーニングをスタートします。

「最初は面倒くさいと思われることもあります。でも、それを繰り返していくことで当たり前になっていくんです。」

サッカーの技術はもちろん大切です。

しかし、それ以上に大切なのは、自分自身の行動に意味を持てること。

その積み重ねが選手の成長につながると考えています。

指導者よりも仲間が影響を与えるチームへ

近年、子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。

以前のように指導者が強く管理するだけでは、本当の意味での成長にはつながらないと内野代表は考えています。

「今の時代は押さえつける指導だけでは難しいと思います。」

だからこそ目指しているのは、選手同士が高め合える環境です。

「僕らが言うより、キャプテンや仲間が言う方が影響力があるんです。」

仲間の行動を見て、
良いことは認める。
良くないことは指摘する。

そうした文化が根付くことで、自立した集団が生まれると考えています。

「理想は、選手たち自身がチームを作っていくことです。」

安心して挑戦できる環境

ヴェルメリオの特徴として、多くの保護者が口にするのが「安心感」です。

スタッフと選手の距離が近く、相談しやすい環境があります。

「選手たちには安心してチャレンジしてほしいと思っています。」

失敗してもいい。
うまくいかなくてもいい。

その中で成長していけばいい。

そんな空気がクラブ全体に流れています。

実際に卒業を迎える頃には、保護者同士にも強い一体感が生まれると言います。

「卒団の時には本当に皆さん感謝してくださるんです。それを見るたびに、自分たちの取り組みは間違っていなかったんだなと思います。」

メンタルトレーニングを導入した理由

ヴェルメリオでは継続的にメンタルトレーニングを導入しています。

しかし、その目的は単純に選手を変えるためではありません。

「僕自身が選手をもっと理解したかったんです。」

なぜ緊張するのか。
なぜ自信を失うのか。
なぜ行動できなくなるのか。

そうした選手の内面を理解し、より良い関わり方を学ぶために導入を決めました。

「指導者側の認識が変われば、選手への関わり方も変わると思ったんです。」

小さな成功体験を積み重ねる

メンタルトレーニングを導入してから、指導現場で意識することも変わったと言います。

特に大切にしているのが「スモールステップ」です。

小さな成功を見つける。
できたことを認める。
言葉にして伝える。

その積み重ねによって、選手の自己肯定感や自己効力感が育っていきます。

「一つできたじゃん。」

そんな声掛けを大切にしています。

実際に自信を失っていた選手が、自分の成長に気づき、前向きな行動を取れるようになったケースも少なくありません。

「選手が困った時に振り返れる材料として、メンタルトレーニングはすごく役立っています。」

サッカーを人生の財産にしてほしい

最後に、選手たちへの想いについて伺いました。

「とにかくサッカーを楽しんでほしいですね。」

サッカーは本来楽しいスポーツです。

周囲の評価や結果ばかりを気にするのではなく、まずは夢中になって取り組んでほしいと語ります。

そして、プロを目指す子だけが成功ではないとも考えています。

「いろんな夢があっていいんです。」

サッカー選手。
トレーナー。
指導者。
全く違う職業。

どんな道に進んだとしても、サッカーを通じて得た経験が人生の糧になればそれでいい。

「クラブでの活動がただの思い出で終わるのではなく、自分の夢に向かう原動力になってくれたら嬉しいですね。」

未来への挑戦

「うちには様々な理由で入団してくる選手がいます。でも、その一人ひとりに可能性があると思っています。」

だからこそ、どんな選手も諦めない。

卒業する頃には、自信を持って次のステージへ送り出せる存在に育てたい。

それがヴェルメリオの変わらない想いです。

サッカーの技術だけではなく、人として成長できる場所。

それがヴェルメリオというクラブなのです。

 

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