「メンタルが整うと、プレーが研ぎ澄まされていく」
——フットサル選手・加藤翼インタビュー Fリーグの現状と、選手のリアル——
「Fリーグはもうすぐ開幕19年目を迎えますが、全員がプロというチームは数えるほど。名古屋や大分、品川、など一部に限られ、ほとんどの選手は仕事と両立しながら戦っているのが実情です。」
所属チーム・シュライカー大阪は、過去に優勝経験もある強豪クラブ。常に上位に食い込むチームとして、若手からベテランまでバランス良く構成されている。
キャリアの始まりと、苦しんだ時代
「18歳の冬、サテライトチームのセレクションを受けて初めてフットサルに触れました。それまでずっとサッカーをやっていた自分にとっては、まったく新しい挑戦でした。」
当初はトップチームとサテライトを行き来しながら2年間プレー。その後、レンタル移籍した先では理不尽な環境に直面し、フットサルを辞める決意もしたという。
「ずっと走らされて、ボールにすら触らせてもらえない。もう限界でした。当時20歳くらい。悔しさと怒りであふれていたけど、自分の限界も知った瞬間でした。」
一度はFリーグを離れ、関西リーグに舞台を移し、4年間プレー。その後、23歳で仙台に加入しFリーグに復帰。いきなり二桁得点を記録し、チームの中心選手として頭角を現す。
メンタルトレーニングとの出会い
「メンタルって“ふわっとしててよく分からない”存在だったんです。でも利生さんのトレーニングを受けて、“言語化”されたことで一気に整理された感覚がありました。」
初めて受けた時の衝撃は、今でも忘れられないという。
「感覚として持っていたことが、ピタッと言葉ではまった。“確かに!”って、腑に落ちる瞬間が何度もありました。」
以降、定期的にトレーニングを受けるようになり、メンタル面の安定は明らかにパフォーマンスに影響を与えている。
「トレーニングの後は、なぜか点が取れる。感覚が研ぎ澄まされてる。いらないことを考えなくなって、シンプルにプレーできている証拠だと思う。」
安定感と回復力をもたらした“整理された思考”
「うまくいかない時こそ、メンタルトレーニングが活きると思っています。」
どんな状況でも、頭の中が整理されていることで、自分を俯瞰して見つめ直すことができるようになった。
「昔は、ミスをすると一気に崩れてた。でも今は、“ここからどう立て直すか”を自然に考えられる。失敗がパフォーマンス全体に響くことがなくなった。」
それは結果として「安定したプレー」にもつながっている。
「悪くても平均点は叩けるし、いい時はさらに伸ばせる。波が少ない。これはすごく大きいこと。」
孤独を支えてくれる“伴走者”の存在
「トップ選手って、思ったより孤独なんです。監督にもチームメイトにも言えないことがある。でも、利生さんは本音で話せる相手だった。」
信頼できる相手に愚痴も悩みも話せる。それが心の支えになっていると語る。
「誰にも言えないことを、消化できずにシーズンが終わっていく選手もいる。でも自分は、トレーニングを通してその“もやもや”をクリアにして、次に向かえている。それがすごく意味のあることなんです。」
今後のキャリアと、選手以外の活動
選手としては「毎年二桁得点」を目標に掲げながら、「日本代表入り」も視野に入れて取り組んでいる。
また、現役の傍ら、地域のサッカーチーム支援や、現役・引退選手のセカンドキャリア支援にも意欲的だ。
「自分自身が“もがいた時間”を知っているからこそ、次世代や同世代に届けられるものがあると思っています。フットサルを通して、もっといろんな形で価値を届けていきたいですね。」
彼のプレーの裏には、「整った思考」と「支えてくれる存在」がある。華やかなプレーの裏側で、彼は自分の足で人生を整えている。